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キャリア教育のための手段やツールとは【大学/短大/専門学校等向け】

キャリア教育とは「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」のことを指します(文部科学省の定義より)。この記事では大学や短期大学(以下、短大)、専門学校などで必要なキャリア教育や、キャリア教育のために使える手段・ツールについて説明します。

投稿日:2022年11月30日

目次

いま求められるキャリア教育とは

現在の日本は、従来のメンバーシップ型雇用に代わってジョブ型雇用を採用する企業が増えるなど雇用の在り方が変わってきています。また、副業やフリーランス、プロボノなど働き方も多様化してきており、若年層の就業環境は大きく変化しています。

こうした環境下では、自己の性格や能力をしっかり把握し、自分から働く目的や働く意義を見い出すことが、これまで以上に必要となるため、特に大学や短大、専門学校では、次のようなキャリア教育が求められています。

専門的な能力育成だけでなく、自己理解力や考える力などのソフトスキルが必要

就職活動時には、自己分析による自己理解や、自ら考えて意見をまとめる力などが必要とされています。しかし大学や短大、専門学校では専門課程の教育に重きが置かれ、こうした就職活動時に必要な力を磨く時間や機会が少ないケースがあります。

自己理解力や意見を考えてまとめる力などは「ソフトスキル」と呼ばれ、専門性と平行して重視される傾向に変わっています。就職前からこのソフトスキルを得る必要性は高いといえます。

文章力や口頭での表現力

就職活動ではエントリーシートや履歴書などを作成します。このとき、エントリーシートや履歴書の作成に必要な文章力が不足している学生が少なくありません。また、書類選考後の面談では自分の経験や思いを表現する必要がありますが、ここでも思考力や口頭での表現力が不足している点でつまずく学生もいるそうです。

キャリア教育として、こうした文章力や口頭でのコミュニケーション力を身につけることも大事です。

以上のように、ソフトスキル、文章力や口頭での表現力なども踏まえたキャリア教育が求められますが、学校関係者側としては、実際どのようにアプローチすれば良いかと悩まれることもあるでしょう。

大学・短大・専門学校等でのキャリア教育

現在、大学や短大、専門学校などでは、次のようなキャリア教育が行われています。

授業内でのキャリア教育

まずは授業内でのキャリア教育が進められています。

例えば大学を対象とした「大学生のための『キャリア教育プログラム集』」(※)では、各学部での専門的・基礎的な知識・技能の習得以外に「勤労観・職業観等の価値観」や「論理的思考力」、それから「人間関係形成・社会形成能力」などの「基礎的・汎用的能力」を身につけることを目的とした講義を実施するとよい、とされています。
※本プログラムは平成26年度に作成されたものであり、紹介しているツールや情報が古い可能性があります。本プログラムを使用する際には、必ず最新の情報を確認するようにお願いします。

具体的には、自己理解に関する講義や、職業理解に関する講義などに分けられ、複数年次を通じてキャリア教育を行えるようなプログラムが組まれています。

面談などによる就職活動の支援

就職活動を間近に控えた学生に向けて、キャリアセンターの職員などが、希望する学生にキャリア面談を実施し、具体的なサポートを行っている学校もあります。

就職活動の進め方やこれからのキャリアについて悩んでいる学生に対して細かくアドバイスできる点がメリットです。

インターンシップ

学生時代から民間企業などでインターンシップを行う動きも活発化しています。興味のある業界・企業で実際に働くことで、自分なりの職業観がさらに明確になり、同時に自分の得意・不得意などへの理解も深まる点が特徴です。

キャリア教育のために使える手段やツール

キャリア教育のために使える手段やツールにはどのようなものがあるのでしょうか。いくつか紹介します。

大学生のための「キャリア教育プログラム集」に付随するワークシート

前述の「大学生のための『キャリア教育プログラム集』」には、キャリア教育に活用できるさまざまなワークシートが掲載されています。

例えば「自己理解」プログラムのうち、「【A-1】職業興味と自己理解1 (理論と解釈)」では、以下のワークシートを使って、自分の好きなことや職業興味の評価などを行えます。他にも用途に応じてさまざまなシートが用意されているため、必要に応じて取り入れるとよいでしょう。

厚生労働省「大学生のための『キャリア教育プログラム集』ワークシート等 」内、A-1資料1

出典:厚生労働省「大学生のための『キャリア教育プログラム集』ワークシート等」内、A-1資料①

学生用のジョブ・カード

厚生労働省が様式を定め、「生涯を通じたキャリア・プランニング」及び「職業能力証明」の機能を担うツールとして広く普及を進めているジョブ・カードも、学生のキャリア教育にご活用いただけます。


ジョブ・カードには、学生が利用できる「様式1-2 キャリア・プランシート(就業経験のない方、学卒者等用)」「キャリア・プラン作成補助シート(学生用)」などがあります。

Career Plan Preparation Sheet (for students)「キャリア・プラン作成補助シート(学生用)」より抜粋

こうした学生用のジョブ・カードは、学生生活での経験や取得した資格・スキル、自己分析の結果などをまとめることができ、自身の能力やスキル、働く目的・意義の可視化に繋がります。また、自分のことをわかりやすくまとめる訓練としても活用可能です。

入学後早い時期からジョブ・カードの作成に取り組めば、将来のキャリアを意識し、学生生活で何をするべきかが見えてきて、有意義な学生生活にも繋がります。

「マイジョブ・カード」は、オンラインでジョブ・カードを作成・保存し、いつでも更新できるので、一度取り組んだら、節目節目で見直すなど継続的に長く使える点も魅力のひとつです。

キャリア教育のための手段やツールにはいろいろなものがありますが、ジョブ・カードは学生のキャリア教育にもとても有効なツールとなっています。

学生向けに、自己診断やワークを盛り込んだジョブ・カード活用ガイドが用意されているので、ご活用ください。

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ジョブ・カードを作成しよう!

ジョブ・カードを作成することで、自分の強み・弱みや能力に気付くことができ、これまでの経験を踏まえた将来のキャリア・プランとそれに向かってやるべきことが描けるようになります。また、作成したジョブ・カードは就職活動や転職活動でも活用することができるようになります。
マイジョブ・カードのアカウント登録をすると、作成したジョブ・カードを保存し、いつでも修正することができます。
アカウント登録をして定期的にジョブ・カードの見直しや確認を行いましょう。

※アカウント登録後・ログインせずにジョブ・カードを作成した場合、保存するにはダウンロードしたうえ、アカウント登録・ログインしてアップロードする必要があります。

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