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企業が従業員の「学び直し」を支援する方法とは

近年、働き方やビジネスモデルの変化に合わせて従業員に新たなスキルや知識を身につけてもらう「学び直し」が注目されています。実際に学び直しを行う際には、どのような点を意識したら効果的なのでしょうか。企業が従業員の学び直しを支援する方法について説明します。

投稿日:2023年1月31日

目次

企業が率先して「学び直し」に取り組むべき理由とは

技術発達や働き方、ビジネスモデルの変化に適応するために必要なスキルを得ることを「リスキリング」と呼びます。近年叫ばれる「学び直し」は、このリスキリングを指していることが多いです。

なぜ企業は学び直しに取り組むべきなのでしょうか。その理由は主に2点あります。1点目は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進などによって、企業や従業員を取り巻く環境が急速に変化していること。2点目は、定年延長などによって長く働くようになり、従業員一人ひとりの生産性を向上させる必要性が高まっていることが挙げられます。

企業が長く存続するために、従業員の自律的・主体的な学び直しを促進することが重要になっているのです。

企業が従業員の「学び直し」を支援する方法

企業が従業員の学び直しを支援するためには、主に以下の4つの手段が活用できます。厚生労働省「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」等を参考に説明します。

なお、これらの支援を行うにあたっては、労使間で、学び直しの必要性の共有、方向性のすり合わせを丁寧に行っておくことが重要です。そして、学び直しの結果をどのように業務に活かすかも考えておく必要があります。配置転換の際に考慮する、社内公募制度を導入する、プロジェクトチーム人選の際に考慮するなど、実践の場も用意しましょう。

1.学び直しのための環境を用意する

まずは、学び直しのための環境を整えます。「学ぶ」というと、従業員が講師から一方的に教えられる印象があるかもしれませんが、ここでポイントとなるのは「相互に学び合う」ことです。

従業員みんなが学ぶ側にも教える側にもなることで、主体性が増し、お互いを高め合えます。例えば、社内のベテラン社員が講師となって自主的な勉強会やグループワークを開催したり、各従業員が個別に受講した内容を、後で他の従業員に共有したりといった方法が有効です。インプットするだけでは時間が経つと忘れてしまう知識も、アウトプットすることで定着が図れます。

企業としては、そのような勉強会の開催を推奨し、後押しするような制度を作るとよいでしょう。そして勉強会やグループワークが実施された際には、そのナレッジをまとめておき、後日社内のイントラネットで共有すると、より多くの従業員が学びを得られます。

2.学び直しのための時間を確保する

次に、学び直しのための時間を確保します。日中の労働時間が日々の業務で埋まっていると、学び直しをする時間がなくなってしまいます。そこで、従業員の自己啓発に対して、時間的配慮を行うような制度を設けるとよいでしょう。

例えば、従業員が研修の一環で一時的に業務を離れても、業務に支障が生じないようなマネジメント上の工夫をする、部門ごとに特定の時間や曜日を学び直しに充てるなどの方法があります。

3.学び直しのための費用を支援する

学び直しのための費用を支援することも重要です。費用を自己負担しての学び直しは、従業員にとってハードルが高くなりやすいからです。基本的には学び直しに関する費用は企業負担にします。

また、公的職業訓練(通称:ハロートレーニング)には、主に中小企業に勤める方々を対象とした、業務に必要な専門知識及び技能・技術の向上を図るための在職者訓練もあり、こういった公的制度を活用すると、企業が負担する費用も軽減できます。

4.キャリアコンサルティングなど外部の支援も用意する

学び直しが実施しやすい環境を整えたとしても、労働者が自律的に学ぶとは限りません。中には、定期的かつ継続的なアドバイス等の支援をしてほしい者もいるでしょう。

そこで企業としては、従業員の学び直しを存分にサポートできるよう、外部のキャリアコンサルタントによる支援を用意したりすることも大切です。

キャリアコンサルタントは、その名のとおりキャリア相談に長けた専門家であり、社内の担当者にはない視点から従業員にアプローチすることができます。社内にキャリアコンサルタントがいない場合は、こうした外部人材も活用するとよいでしょう。

「学び直し」にはジョブ・カードの利用がおすすめ

個々人の学び直しの下準備や方針の決定などに利用できるのが、ジョブ・カードです。ジョブ・カードには目的に応じたさまざまな様式があり、これまでのキャリアをまとめるなら職務経歴シート(様式2)、これまでに得たスキルや技能をまとめるなら職業能力証明シート(様式3-1・様式3-2)が活用できます。学び直しの初期や節目ごとに利用するのがおすすめです。

様式2「職務経歴シート」の記入例より抜粋した画像

様式2「職務経歴シート」の記入例より抜粋

「学び直し」によって何が実現する?

企業が主導し、従業員が効果的な学び直しを実施できると、変化する時代にも対応できる人材が育ち、DXのさらなる推進などが実現できる可能性が高まります。その結果、企業・従業員双方によい影響が与えられると期待できます。

ただし、一度だけの取り組みでは社員の成長につながりづらいものです。企業が継続的に取り組める状態を維持し、学び続けることが当たり前となることで、社員一人ひとりが成長します。その結果として企業の力も高まっていくでしょう。

これから従業員の学び直しの支援を進めるにあたっては、ジョブ・カードの利用もご検討ください。「マイジョブ・カード」は、オンラインでジョブ・カードの作成・保管ができるなど、継続的にご利用しやすくなっており、学び直しにもご活用いただけます。

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