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介護と仕事の両立はできる? できない? キャリアの見直しを図ろう

自身の年齢が上がるにつれ、「家族の介護と仕事の両立」という問題が顕在化しやすくなります。介護のために離職すると、自身の生活が困窮してしまう可能性があるため、安易な離職は避けた方が無難です。では実際、どのように介護と仕事を両立すればよいのでしょうか。この記事では介護と仕事の両立の可能性や、両立するコツなどを解説します。

投稿日:2022年10月26日

目次

介護と仕事の両立は難しいのか

そもそも介護と仕事の両立はどれほど難しいのでしょうか。

総務省が発表した「平成29年 就業構造基本調査」によると、介護と仕事を両立している人(介護をしている有業者)は、全国で346万3,000人。介護をしている人全体のうち、男性は65.3%、女性では49.3%が、仕事と両立している状態でした。

介護と仕事を両立している人は比較的多いものの、介護の負担が増えるにつれ仕事を辞める選択をする方もいます。そうすると自身の収入が減少し、経済的な問題を抱えかねません。

介護と仕事の両立をするためには、さまざまな支援制度を利用することが大切です。近年は複数の支援制度が制定・改定され、より利用しやすくなっています。まずは制度の存在を知り、どれを利用したら介護と仕事を無理なく両立できそうか、考えてみるとよいでしょう。

介護と仕事を両立するコツ

介護と仕事を両立するためには、さまざまな制度を活用するとともに、周囲を巻き込んで両立の工夫を行うことが大切です。介護と仕事を無理なく両立するコツを紹介します。

介護休暇、介護休業を利用する

まずは介護に関する各種制度を利用することが大切です。主な制度は以下2つがあります(※1)。

※1:それぞれの制度には所定の利用条件があります(詳しくは、厚生労働省「介護休業制度 特設サイト」)。

  • 介護休暇

親や配偶者などの家族が要介護状態(※2)の場合、家族1人につき年5日まで(家族2人以上の場合は年10日まで)休暇が取得できる制度です。休暇は日単位ではなく時間単位でも取得できるので、突然の通院や入院手続き時などに活用できます。

  • 介護休業

親や配偶者などの家族が要介護状態(※2)の場合、その家族を介護するために休業できる制度です。対象家族1人につき3回まで、通算93日まで休業することができます。この制度を活用すれば数ヶ月単位での休暇も取得できるので、数ヶ月間の在宅介護や計画的な入院などにも対応可能です。
この介護休業時には介護休業給付金が支給されます。支給額は休業開始前の賃金の67%です。普段の給与よりは減少するものの、休業中に生活を支える制度となっています。

※2:負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態(引用元:厚生労働省「介護休業制度 特設サイト」内)

 介護によって突然休む際には介護休暇を利用し、計画的に休暇を取得する際には介護休業を取得して、介護休業給付金を受け取るとよいでしょう。

職場の介護支援制度を利用する

介護休暇や介護休業は国が定めている制度ですが、これ以外に企業が独自に制度を設けているケースもあります。勤務先に利用できる制度がないか、確認してみるのがおすすめです。

介護保険サービスを活用する

介護保険サービスとは、65歳以上の高齢者や、40歳〜64歳の特定疾患の患者が、要介護・支援状態にある場合に、介護保険を利用して受けられるサービスです。

サービスは「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3つに大別され、どれも比較的低料金で利用できます。実際に受けられるサービスは地域によって異なるため、お住まいの市区町村の担当窓口に問い合わせるとよいでしょう。

家族で相談・協力する

介護と仕事を両立するためには、身近な家族の協力を得ることも大切です。まずは配偶者や兄弟姉妹など頼れそうな人に、一部の介護を担ったり、仕事時間の確保に協力してもらったりできないか相談してみましょう。

働き方を見直す・転職を検討する

介護と現在の業務内容との両立が難しい場合は、勤務先に相談して働き方を見直すこともできます。まずは現在の勤務先に相談してみるとよいでしょう。もし業務量やワークスタイルの調整が難しいなら、転職するのも手段のひとつです。

介護と仕事の両立には「キャリアの見直し」も有効

介護と仕事の両立方法を模索する際、まずは自身のキャリアを見つめ直すことが大切です。

その際に活用できるツールのひとつが、ジョブ・カードです。ジョブ・カードにはスキル・経験の棚卸しや自己分析などに役立つシートが複数あります。例えば様式1-1「キャリア・プランシート(就業経験がある方用)」などを活用すると、自身の価値観や興味、関心事項などを整理し、将来取り組みたい仕事や働き方なども明確化することが可能です。

様式1-1「キャリア・プランシート(就業経験がある方用)」より抜粋した画像

様式1-1「キャリア・プランシート(就業経験がある方用)」より抜粋

また「キャリア・プラン作成補助シート(在職者用)」を作成すると、仕事に対する姿勢や活かしたい強みなどを整理し、今後就業を続ける際やキャリアを転換する際の指針ができます。結果として今までのキャリアを見直せて、かつ今後のキャリアの展望も広がるでしょう。

介護との両立には時間的・場所的な制約が生まれるため、諸条件を下げて転職する方がいるのも事実。しかしキャリアを自発的に見直し、「キャリアに欠かせない要素」を明確化しておけば、納得感のある転職が叶う可能性も高まります。


介護と仕事の両立が必要になったら、まずは利用できる制度は何か把握し、勤務先や周囲の家族などとも相談しながら、両立に向けて行動します。その際にジョブ・カードを活用してキャリアを見つめ直し、必要に応じキャリアコンサルティングを受けることで、制約がある中でも納得感のある働き方ができる可能性が高まります。さまざまな手段を取り入れ、介護と仕事を無理なく両立できる方法を探してみてください。

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