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学生の就活におけるジョブ・カード活用事例 ~東京医薬看護専門学校~

大学生や専門学校生の就職活動では、自己分析や業界研究などの準備をしっかりと行えているかどうかが就活の結果を左右します。このうち自己分析に関しては、ジョブ・カードを活用することが有効です。 そこで今回は、学生の就活指導でジョブ・カードの「キャリア・プラン作成補助シート(※)」を活用している、学校法人滋慶学園 東京医薬看護専門学校のキャリアセンター長・福田昌彦氏に、その活用方法などについて話を伺いました。 ※自分の興味・関心や強みなどの自己理解を深めることができ、キャリア・プランシートの作成に役立つ。「在職者用」、「学生用」、「求職者用」の3種類の様式の他、さらに自己理解を深掘りするための「付録」がある。

投稿日:2022年10月26日

目次

プロフィール写真

プロフィール:
福田昌彦氏
学校法人滋慶学園で約20年学校運営に携わっており、現在は、東京医薬看護専門学校にてキャリアセンター長として就活指導を行う。

プロフィール写真

プロフィール:
福田昌彦氏
学校法人滋慶学園で約20年学校運営に携わっており、現在は、東京医薬看護専門学校にてキャリアセンター長として就活指導を行う。

授業内で活用しているジョブ・カードの「キャリア・プラン作成補助シート」

——現在貴校では「キャリア・プラン作成補助シート(学生用)」「キャリア・プラン作成補助シート 付録」をいつ、どのように活用されていますか? 

福田氏「これらを使って指導を行う時期は、就活を始める前のタイミングです。当校は専門学校のため、2年制の学生なら1年生の秋頃、3年制の学生なら2年生の秋頃ですね。就活指導のために授業を2コマ・計90分確保しているので、その授業内で2つのシートを紹介し、実際に作成してもらっています。

『キャリア・プラン作成補助シート(学生用)』は、自分の個性や性格を選択肢の中から選ぶことから始まり、仕事を選ぶ上で大切にしたい価値観や、仕事に活かせる自身の強みなどを明確化しやすいのが特徴です。

「キャリア・プラン作成補助シート(学生用)」より抜粋した画像

「キャリア・プラン作成補助シート(学生用)」より抜粋

『キャリア・プラン作成補助シート 付録』は、さらに深く自分を掘り下げて考えるために、自分史の制作からスタートします。また、働くために必要な社会人基礎力を評価する項目や、面談で企業に質問する内容をまとめる項目、業界・企業研究の結果を整理するシートもあり、必要に応じて長く使える内容です。

「キャリア・プラン作成補助シート 付録」より抜粋した画像

「キャリア・プラン作成補助シート 付録」より抜粋


学生が作成し終えたら、それぞれに対してフィードバックを行います。そして作成したシートは学生自身が保管し、必要に応じてブラッシュアップするよう促していますね。

中には授業内で作成が終わらない学生もいますが、その場合は後で個別指導をするようにしています。うまく書けなかったことで自分について把握できていない部分や言葉にしづらい部分がはっきりするという点では、こういった学生の方がむしろジョブ・カードを用いるメリットが大きいかもしれないと感じています」

「資格があればよい」ではなく「人間性」のアピールが重要な時代に

——学生の就活に関して、現在取り組んでいる課題のようなものはありますか?

福田氏「当校は医療・くすり・化粧の専門学校なので、学生はある程度『この職種・領域で働きたい』という希望を持って入学してきます。よって、就活の軸もある程度定まっている人がほとんどです。

ただし、最近の就活事情は大きく変化しています。医療業界は人手不足の影響もあり『資格があれば就職できる』という想いを持っていた時期もありましたが、昨今は資格と並んで『人間性』も重視される傾向があります。

当校の就職先でも、業種によっては資格がなくても、もしくは就職してから資格をとっても働ける仕事があります。そういった仕事だと特に、専門外の学校を出ているけれど、対人能力が高い、マネジメント能力があるといった人が合格し、そこがうまく伝えられなかった人が不合格になるといったことも起こっています。
過去の経験と紐付けながら、自分がどんな人間で、それがその組織でどのように役立てられるのかを、明確に語れる必要があるのです。

また学生自身も、『この分野に力を入れている病院に就職したい』『家庭を持っても長く働けるよう、比較的通いやすい職場へ就職したい』など、就職先を主体的に選ぶようになったとも感じます。そうすると当然、希望する就職先が絞り込まれますから、自己アピールに繋がるエピソードを事前にしっかりと整理する必要があるでしょう」

——就活指導にジョブ・カードを活用した結果、学生の就活はどのように変化したのでしょうか。

福田氏「自己分析についてある程度の時間を割いて取り組む学生が増え、履歴書の内容が充実するようになったと感じます。

うまくいかない就活の代表例が『準備なしで履歴書を書いた結果、内容が薄くなってしまって選考に落ちる』というものです。学生に限らず大人でも、自己分析や経歴・スキルの棚卸しをせずに履歴書を書いたら、同じような状況になる方は多いかもしれません。

そこでジョブ・カードを活用すると、自分がどんな人間でどんな強みがあるのか、それを仕事にどのように活かせるのかなどが整理できます。その上で、応募する企業・病院に合わせて履歴書を作成すれば、内容により深みが出ますし、『この会社にはこの強みを伝えよう』という出し分けも可能です。

特に自己肯定感が低い学生は『これを強みとして書いてよいのだろうか』と迷ってしまうシーンも多く見られます。そのときは一度シートに書き出してもらい、『この内容は強みとしてアピールできるよ』と指導すれば、より前進しやすくなると感じます」

学生の就活における目標や価値観が明確になる

——ジョブ・カードを活用した学生からは、どのような反応がありましたか。

福田氏「作成を始めた直後は『難しい!』という声も上がるものの、作成が終わった段階では『自分について振り返って、初心に返ることができた』『改めてこの道を突き進もうと思った』などの感想をよく聞きます。当校の場合、すでに希望職種が明確な学生がほとんどなので、希望職種が大きく変化することがないのですが、そこで働く意義を再確認できているようです」

——ジョブ・カードは、どのような教育機関で活用したらよいと思いますか。また、初めてジョブ・カードを活用するキャリア指導員へ、アドバイスをお願いします。

福田氏「ジョブ・カードは丁寧な自己分析が一通りでき、就活準備ができるので、専門学校はもちろん、将来の選択肢が多い大学生へのキャリア支援でも活用できると思います。中でも『自分が何をやりたいのかがわからない』『仕事に対する価値観が明確でない』という学生への指導にマッチするでしょう。

また、すでに自己分析をある程度終えている学生であれば、『様式1-2 キャリア・プランシート(就業経験のない方、学卒者等用)』を作成し、社会に出てからも継続して活用できると思います。

私も引き続きジョブ・カードを使って、学生への綿密な就活支援を実施していきたいと思います」

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